偽善者ヒーロー 04


 夕食後、机の上にうつ伏せてうたた寝をする近藤の姿があった。
 近藤は、時折こうやって大部屋で居眠りすることがあった。後に誰かしらが「そんなところで寝ていたら風邪をひく」と注意をしているのだが、一向にうたた寝をやめようとはしない。 だからと言って無理やりに起こすことも憚られるので、こういった場面に出くわした者はたいてい毛布か何かを彼にかけてやるのだった。
 土方が部屋に踏み入れたときも、そうだった。
 熟睡している姿をしばらく静観していた土方は、気配を消し、近藤の元へ近寄った。手を伸ばす。彼に触れようとして、やめた。かわりに拳を握りしめる。
「なァ、なんで俺になんも言ってくれねェの」
 つぶやきを落とすと、土方は身を翻して屯所を出た。

20070321