現代パロ/女体/ダイヤルQ2物語


ボクの初体験 3


 近藤はそこで理性を失った。女の肩をがっちりとつかみ、唇を寄せた。わッと色気のない悲鳴をあげた女が接近する近藤の口許を手のひらで覆い、「なんだよ急に」と上擦った声を出したが、ここでやめるわけにはいかないと近藤は無意識に女の肩を強くつかんだ。中断したらしたでまた気まずい空気が流れるだろうし――それが近藤だけが感じる一方的なものだとしても――、何よりここで引いたら男が廃るとまで考えたのだった。
 かくして近藤は無事女をベッドに押し倒すに至った。痛い痛いと繰り返す女のちいさな声に我に返り、肩をつかんでいた力をいくらか弱める。さて次はどうしようかと女を見下ろしているのも間が持たず、とりあえず目の前の首筋に貪りついた。びくりと一瞬身体を震わせたものの、今度は女は拒絶する素振りを見せることはなく、すんなりとその白い肌を堪能することができた。
 ぎこちない所作ではあったが、どうにか互いに服を脱がせ合う。そしていよいよ――というときになって、それまでの甘い雰囲気を一掃させてしまうほどに近藤は顔面を蒼白させた。
(た、勃たん……!)
 なんでこんな大事な場面で!
 これ以上はないっていうくらいに興奮はしているのに、ちっとも肝心なところは反応してくれないのだ。――ならばそれ以上に緊張しているせいだろうか。
 いやちがうンだいつもはちゃんと機能するんだけど、などと弁解をしても虚しさが募るだけだろう。
 ベッドの上で正座しすっかり肩を落としてしまった近藤の耳に、くすりと鈴の音が鳴るような笑い声が聞こえてきた。そこは笑うところじゃないだろうと近藤がいささか傷つきながらも非難じみた眼差しを女に向けると、「そうじゃなくて」と女はかぶりを振る。
「おれもはじめてだし」
「……はッ?」
「今度がんばったら」
 思いも寄らない言葉を言い残し、女はするりとベッドから降り立つと床に散らばった服を着始めた。
「アンタおもしろいし……また呼んで」
 近藤が呆然としている間に女は部屋を去って行った。名前すら聞いていなかったことに気づいたときにはもう手遅れで、シャンプーの香りが微かに残るひとりの部屋で近藤は眠ることもできずにしばらくやきもきとしていなければならなかった。


20070712