現代パロ/女体/ダイヤルQ2物語
ボクの初体験 1
近藤は薄汚れたアパートに帰宅するなり、四畳ひと間の部屋の真ん中に鎮座し懐を探った。
取り出したのは、ひとつのポケットティッシュ。先刻街角で配っていたもので、バイト人の成せる業か同じものをふたつももらっていた。
そこに書かれた番号をじっと見つめたあと、何かを決心したように近藤は携帯電話を握りしめた。緊張は最高潮に達している。何度か番号を押し間違えながらも、しどろもどろにとりあえず伝えるべき用件を伝えて電話を切った。
ひとつため息をつき、しかしやらなければならないことを思い出してあわてて腰を上げた。まずは部屋の片隅に積んであるエロ本の類を安物のパイプベッドの下に押し込んだ。手前にはカモフラージュとしてメンズ雑誌を数冊置いておく。『モテるための秘訣』、『ファッションセンスを磨いてモテよう』、『これで貴方も必ずモテる!』等ずらりと並ぶ見出しにぎょっとして、とりあえずの防衛策として雑誌を裏側にひっくり返した。
続いて肝心なベッドメイキングに取りかかる。えいッと勢いよくシーツを剥がし、くちゃくちゃに丸めて後方に投げ捨てた。タンスのなかから真新しいシーツを引っ張り出し、封を破ってマットレスの上に広げて整える。枕カバーも同様にして取り替えると、先ほどの汚れたシーツと一緒に無理やりタンスのなかに突っ込んだ。コインランドリーに行く暇はないのだからしょうがない。
さてこれで準備は整っただろうかと部屋をぐるりと見回した近藤は、最後に小型掃除機をかけてようやく落ち着いた。とはいっても内心では心臓がドッキンドッキン鳴っているものだから、いったん畳の上に腰を下ろしてもまた立ち上がり、狭い室内をうろうろと歩き回ってまた座り込むという行動をひっきりなしに繰り返していた。
そうこうしているうちに、訪問者を告げるベルが鳴り響いた。ブー、という壊れかけたような短い音を耳ざとく聞いた近藤はあやうく飛び上がりそうになった。
20070711