丸まった背中
なんだか寝苦しくて重たい瞼を押し開けると、すぐ目の前に近藤さんの顔があって心臓が飛び出るんじゃないかっていうくらい驚いた。
息を飲んで飛び起きようとしたところで、近藤さんの腕が俺の腰にまわっていることに気がつく。
動いたら起こしてしまうと思い仕方なくまた身体を横たえたのはいいが、近藤さんと向き合って寝ているという状況がいまだに飲みこめない。
呑気にちいさくいびきをかいて眠っている近藤さんをちらちらと見ながら、いったいどうしてこんなことになったんだと考えてはみるものの、どうしても頭は正常に動いてくれない。
がんがんと脳内に響いている頭痛に眉をしかめたところで、ああそういえば俺酔っ払って近藤さんに背負われていたんだっけ、とようやく記憶がよみがえってくる。
それがどうしてこんなことになってんの。
眼球だけを動かしてまだ薄暗い部屋を見回してみてわかったのは、ここが見慣れた自分の自室なんだということだけ。
……つまり酔っ払った俺を近藤さんがここまで運んできてくれて、それで一緒になって近藤さんまで寝てしまったということだろうか。
ふたたび近藤さんの顔を覗いてみる。こんな近くで近藤さんの顔を見ることはそうないだろう。こんな機会が訪れることもきっとないだろう。
俺はごくりと唾を飲みこんでから近藤さんの鎖骨のあたりに額をこすりつけた。
「近藤さん、近藤さん……」
うわごとのようにつぶやきながら、夢みたいなこの状況に深く感謝したくなった。誰に、だなんてわかったもんじゃないがあえて言うならバカみたいに飲んで酔っ払った自分にかそれとも、バカみたいにおひとよしな近藤さんにか。
寄り添い丸まった背中をやさしく撫でられたと感じたのは、俺の勘違いだったのだと、無理やり思いこむのが最善だと思った。
20061124
title by pick up days