キスを頂戴


「近藤さん、」 土方は目を閉じた。近藤のほうへとわずかに身を乗り出し、心持ち顎を上げると瞼の裏が光でいっぱいになる。 天気のいい日だ。近藤の背中には太陽が覗いていた。 唇に落とされる感触を今か今かと待ち受けていると、期待とは別にぐに、と鼻をつままれた。 土方は眉をしかめて目を開けた。眩しくて二度三度まばたきをした後、凛々しい男の顔の輪郭が見えてきた。 「……」 文句を言ってやろうと開いた唇を、それよりも先に塞がれた。 鼻をつままれたままだったのでいささか苦しかった。 けれどこのまま息が止まってもいいかもしれないと土方は思った。

20060524
title by 少年はにびいろをした不可避の幻を見る