どうしても欲しい


 頬杖をついてジッと正面を見つめる。土方の視線の先には丼飯を食らう近藤がいた。 近藤はといえばそんな土方に気づいた様子もなく、着々と丼の中を減らしていく。 なんてうまそうに飯を食うひとだろうと土方はしみじみ思う。やがてご飯粒を幾らか残しただけの丼が机に置かれた。
 目が合った。
「……トシくん、そんなに見つめられちゃうと恥ずかしいンですけど……。俺の顔になんか付いてる?」
「別に。気にすンな」
「違いますぜィ、近藤さん。土方さんは近藤さんの親子丼を狙ってたンです」
「マジでか!」
「ちげーよ。っつーか総悟、テメェいい加減なこと言うんじゃねェ!」
 隣に座る沖田を小突こうと腕を伸ばす。見事に避けられて拳は虚空を切った。悔しさに舌打ちする。
「おまえも親子丼にすればよかったのに……」
「だから違うッての」
 空になった丼を済まなそうに見下ろす近藤に土方は目を細めた。欲しいものは別にあるのになんで、アンタは――。

気づけよばかやろー
20060524
title by 少年はにびいろをした不可避の幻を見る