お調子者と無愛想の愛
トントン、と背中をたたかれて、俺は頭だけを動かして後ろを振り返った。
後ろの席に座る近藤さん、がグイと身を乗り出していたから、危うく顔がぶつかりそうになった。びっくり、した。
俺はちょっとだけ身を引きつつ身体ごと近藤さんのほうに向いて、平静を装う。内心では心臓、ばくばくいっているのだけれど。
「なん、だよ、近藤さん、」
「なァトシ、おさわりして、いい?」
「…………はあ?」
近藤さんの(めずらしく)至極真面目な顔をしっかり十秒は凝視した後、俺は素っ頓狂な声を上げた。
いけない、今は授業中だ。
我に返ったところでこのクラスに真面目に授業を受けている真っ当な人間なんざ、ほとんどいないから心配ないが。
俺はやっぱり近藤さんを見つめたまま(見つめ合った、まま)、言葉の意味を考えようとして(フリ、をして)、首をかしげた。
「なに、言ってンだ、」
「いや、トシ見てたら急にムラムラーッ、ときちゃって」
へらァ、と笑って言うけど近藤さん、アンタほんとうにバカだバカだバカだ!
「……、」
そんでもって頷き返す俺もバカ、だよな!
(もう周りなんざ見えねえよ。)
20060414
title by OL