心臓蘇生法で急死


 おはようのキスをリクエストすると思いのほか近藤さんは狼狽えて、いやそれはなァとしどろもどろになったりするから、なんだよ昨晩は野獣みたいに俺に飛びかかってきたくせにいまさらキスくらいで照れることはないだろう、と布団で隠した口許がゆるんでしまう。正しくは野獣みたいに近藤さんに飛びかかったのは俺のほうなんだが、いまでは俺の頭のなかで都合のイイように記憶変換が行なわれつつあるのだ。なんて便利!
 してくれないと起きれねェけど、と言おうとしたところで俺の目のまえが陰って視界を塞がれる。ああこれは近藤さんの手のひらだとその感触でわかったときになにかがくちびるにふれた。一瞬のことだった。
 なんだいまの不意打ちは!
 わかっていたくせに俺の心臓はバクバクと騒ぎだしてそのまま急ストップしてしまいそうな勢い。いまだ俺の瞼を覆っている近藤さんの手によって俺の赤くなった顔も半分隠されているからよかった。自分で言ったくせに自分で照れるなんてほんとう阿呆らしいではないか! でもいまだ俺の瞼を覆ったままだということは、近藤さんもおなじような顔をしているということだろうか? つまり真っ赤な顔をしているとか気まずそうに俺から視線をそらしていたりとか? ああ見てみたい!
 好奇心に負けて顔のうえの近藤さんのゴツイ手にふれると、それはヤケドしてしまうんじゃないかというくらいに熱かった。なァはやくアンタの顔を見せてよ、俺の心臓が止まってしまうまえに。


20071118