無粋にみせたい性感帯
「なあトシ、どこがきもちい?」
耳朶に触れた唇がそうひっそりと囁いた。
せわしない呼吸を繰り返していた土方の身体は硬直し、ごくりと唾液を嚥下する音が室内に響く。
かろうじて「知るか」と素っ気なく返した土方だったが(声音はわずかに震えていたかもしれない)、「自分のことだろう」と苦笑した近藤はなおも引き下がる素振りは見せなかった。
じっとりと汗ばんだ肌を弄ぶかのように、硬く筋張った指先がやさしく、けれど執拗に撫でていた。
気がおかしくなりそうだ。かれこれ三十分はこの身震いのする愛撫を受けている。
もうすこし乱暴にされてもかまわないのに。土方の欲望は下腹部を中心にわだかまるばかりであった。
「こんど、さ……」
「ん」
恨みがましく睨めつけても、近藤は淡々と胸を撫で、尖った乳首をこねくりまわし、首筋から鎖骨あたりを舌で舐めるのをやめようとはしない。
「なあ……」
「どこ? ここ?」
「んん……ちが」
不揃いの爪がやにわに乳首をひっかいた。否定しつつも身体はびくりと震えてしまい、土方は目許を赤く染めて唇を噛んだ。
近藤は愉しんでいる。土方は、そう確信していた。自分がさらなる刺激を求めているのだと、とうにわかっているくせに先に進むことはせずにいつまでも焦らしているのだ。
「いじわる」
「なにが。俺はおまえをきもちよくさせようとがんばってンだぞ」
「よけいなこと、すんな」
眉間に皺を刻み、土方は近藤から顔をそむけてしまった。そのとたん、それまで散々土方を焦らしていた近藤の指が、土方の求めていた箇所に触れた。
「あ……」
土方は静かに喘いだ。しばらく近藤の手のひらで弄ばれていた。きもちよかった。
やがて息も絶え絶えにさせながら近藤にしがみつき、彼が先刻そうしたみたいに、近藤の耳朶に唇を寄せた。
「俺の身体を一番に知ってんの、俺じゃなくてアンタ」
熱っぽい吐息を吹きかけながら、土方は「俺のイイところ教えてやる」と近藤を上目遣いで見やって囁いた。
「アンタのさわるところ、ぜ、ん、ぶ」
20070608