隠し子発覚/陳腐な願い/救いようのない物語


絶望まであと五分


「どうして」
 一度、奥歯を噛みしめた。無残にも下腹に吐き出された飛沫を恨みがましく眺める。 手を伸ばし、粘液を指の腹にこすりつけた。そのままそれを口に運ぼうとすると、「こら」とやわらかく諌める声に手首をつかまれる。 土方はくちびるをとがらせた。不平の色を浮かべたまなざしを、濡れた指先から近藤へと向ける。
「だってアンタがなかに出してくれないから」
 つかまれたそれとは逆の手を、隆々とした筋肉をもつ胸板へ這わせた。とたんに腕を拘束していた力が弱まり、するりと抜けだすことができた。
 自由になった両手を、近藤の頬にあてがう。顔を引き寄せた。視線は合わさったままだ。
 くちびるが重なる、その瞬間に土方は囁いた。
「アンタの精液、俺にもちょーだい」

20070415