授業開始のベルが鳴るのと同時に白いパイプベッドに倒れ込む。
誰もいない保健室は静かなもので、これならぐっすり眠れるだろうなんて大きなあくびをひとつ、かましたりして。
さっさと寝不足解消しようと目を瞑ったところで、がらりと扉が開いて誰かがこっちに歩いてくる気配がした。
保健医だったら寝たふりしていようと決め込んだのだが(相手にするのもめんどくせーし)、聞こえてきたのは俺のよく知ってる声で。
「トシ、サボりかー?」
ああ、やめろって。心臓乱されしょうがなく目を開けると(無視、なんてとてもじゃないけどできやしねェの)、俺の顔を覗き込むようにして満面の笑みを浮かべているのはやっぱり、近藤さん。
「……そういうアンタこそ」
ひとのこと言えねーじゃん。チャイム鳴ったのにこんなトコいるってことは、つまりアンタもサボタージュ。
上半身を起こしながら目の前の顔を手のひらで押し返せば(だって近すぎる!)、近藤さんはグイと胸を張って、
「俺はおまえを迎えにきたんだ!」
「……むかえ、に」
そういう台詞はできたら控えてほしいんだけどな。俺の寝不足の原因、教える気はねーけども。(ああ、今日もぜってー眠れねえ)
すっかり眠気は吹っ飛んだ。恨みがましく近藤さんを睨みつけてやるけど、当の本人はまったく気づいてねえでやんの。(教える気は、ねーけどな!)
こっそりため息を落としたとき、突然足首をつかまれた。いきなり何すんだ、なんて軽口もたたけずに息を呑んでると、近藤さんはわざとらしくしかめ面して、
「こらトシ。ベッドに乗るんだったら靴脱がなきゃダメだろー」
「は」
「ン、俺が脱がしてやる」
なんて靴を脱がして裸足になった俺の両足を丁寧な手つきでシーツの上に揃えて置くから、その先を期待しちまうのは至極当然、自然な成り行きってもので。
誘惑するのは卑怯よダーリン
「靴、だけでいいの?」
20070325