眼球忌憚 2


 土方の許へ戻ってきた近藤は、昨日は大量に獲れたぞと嬉しそうな声を出して、土方の手のひらの上にまあるい湿ったものをそうっとのせた。 どれがいい、三つあるから好きなものを選べ。土方は近藤の愉悦の声に黙って耳を傾けている。 ひとつは昨日の夜遅く、あぜ道で寝転がっていた若い男の酔っ払いのもので、もうひとつは路地裏で段ボール箱でこしらえたちっちゃな家に住むくたびれた中年男のもので、残りのひとつは娼妓のものだよ。 近藤の最後の言葉を聞いた土方はきっと眉をひそめ、アンタ遊んできたのかよと詰問する口調で問うた。 すると近藤の苦笑する気配が伝わって、ぜんぶおまえのためだよとひそめられた眉間にやさしく唇を押しつけられる。 ふうん、とあまり釈然としないようすで土方はうなずいて、じゃあ最後のやつがいい、と近藤にねだった。 だってアンタのイイ姿を俺以外のやつが知ってるだなんて許せねェもん。 拗ねた口調でつぶやきながら土方は眼窩からプラスチック製の球体を取り出して、かわりに近藤から貰い受けたまあるい湿ったものをぽっかりと空いた暗いそこへと押し込めた。


20070318