ごそごそと、幾度目かの寝返りを打ったとき、不意に声をかけられた。
「眠れないんだったら」
土方は、びくりとしてうつぶせの状態のまま顔を上げ、同衾する声の主――近藤を見やった。
「羊を数えると眠れるみたいだぞ」
「……ひつじ」
「おう」
いつの間に起きたのだろう。いたく自信を持った素振りで、近藤は大きく頷いた。
もしかすると自分がうるさくしていたから目を覚ましてしまったのかもしれないと、気にかけながらも土方は「アンタはそれで眠れたことあんの」と苦笑を滲ませながら尋ねた。
するとしかめ面をした近藤は顎を指先でかいて、
「俺は数える前に眠っちまうからなァ」
だから試したことはねェなときっぱり言い切る。
彼らしい物言いに、らしいなと胸のうちでこっそりと笑いながら土方は、「それじゃあ」と枕に片頬をくっつけて、近藤を見上げた。
「アンタが数えてよ。そしたら俺、よく眠れそうだ」
迷える羊よ、どこに行く
20061127