携帯の着信音で目を覚ます。誰だよ一体、こんな朝っぱらから!
 チッと舌打ちひとつして、ベッドヘッドの目覚まし時計を見やれば、一時間目がもうすぐ終わるという時間になっていた。
 あ、遅刻。……どころじゃねェだろ、頭を抱えたくもなったが寝坊したものはしょーがねェ。 こうなりゃ開き直って二度寝してしまえ。
 なんて枕に戻ったのはいいがうるさく鳴り響く電子音が気に食わねェ。 枕元の携帯を手に取り(いい加減しつけーッての!)、ディスプレイを見ることもなく通話ボタンを押す。 だれ、なんて不機嫌極まりない声で応えたことに後悔するのは、ほんの五秒後。
「トシー、寝坊かァ?」
「……あ」
 畜生、俺の馬鹿! さっさと脳みそ起きやがれ!
 悪態ついて自分の頭をぶん殴りたくもなったが今はそれどころではない。
 携帯電話をぎゅっと耳に押しつけて、相手の声を聞き漏らさないようにするのを優先する。
「近藤さん、なんで」
「うん、授業はじまってもトシくん来ないから、どうしたのかなーって」
 心配そうな声色に、俺はさらに自己嫌悪に陥る。 しかしこれ以上は心配かけたくないから事実を話せば、近藤さんはそうかと笑ったあとに不意にトーンを落として、
「それじゃ明日も電話してやろうか」
「……は」
「モーニング・コール」
 厭ならいいけど朝っぱらから俺の声なんて聞きたくないよなァってまた笑って言うからそれってアンタの負担になってねェのなんてちょっとだけ不安になったりもするけどでも俺はやっぱり朝からアンタの声が聞きたくて。


図々しくてごめんねダーリン




「愛のことば、でよろしく」
20061115