Have pleasing.


「トシの髪って綺麗だよなァ」
 さらさらと音を立てそうなほど柔らかな黒髪が、無骨な指にすくわれる。
 かれこれ三十分はこうしているのではないだろうか。まったく、飽きずによくもまあ。
 髪に触れられるのは、嫌いじゃない。ただし、この男に限ってのことだけれど。
「近藤さん、くすぐってェよ」
 くすり、鼻を鳴らして身をよじる。すっきり通った鼻梁が悪戯にうなじに擦れてこそばゆい。
「近藤さんって、ば!」
 とうとう耐え切れなくなって、噴き出してしまう。 じゃれ合い身体をもつれ合いさせながら畳の上へと倒れ込む。ぱらぱらと散らばった長い髪の毛を、近藤が愛しそうに撫で、接吻ける。
「なァトシ、……本当に切っちまうのか」
「ああ、いい加減うざったいと思ってたんだ。いい機会だし、ばっさりな」
 惜しいなあ、と近藤は声色を落として言う。髪を切ろうかなと何気なく土方が呟いてから、幾度となく繰り返されてきた会話だった。
「アンタは俺の髪が好きなのか」
 殊勝な顔をして近藤を睨みつけると、彼は慌てて首を横に振る。
「そんなことはねーぞ!」
「だったらもうその話は終わりだ」
 土方は近藤の顔を両手で挟み、唇に噛みついてやった。そしてそのまま、濃厚な接吻けを交わす。
 刀を振りかざすのに、長い髪は邪魔なだけだ。アンタの横にいるのに、お荷物になる要因は排除するべきだ。
 自分の髪に触れる未練がましい近藤の手をつかみ、下肢へと導く。ふ、と意識的に漏らした吐息を近藤の耳元に吹きかけた。
「近藤さん、はやく」

全部あげるから残さず食べて。
20060617