ほどよく筋肉のついた腹筋のうえにまたがると、薄暗闇のなかで動揺に揺れた双眸が土方の仮面のように張りついた笑みを見あげた。
「どうしたんだ、トシ」
土方は自分の名を呼ぶ男の頬をつるりと撫でた。汗でわずかにしめった指先があごひげにかかると背筋がぞくぞくとした。くすぐったい、とこぼして吐息がふれたばかりの手をすくいとられてしまい、不満げに眉根を寄せる。
「なァ、抱いてくれねえの?」
唐突なことばに近藤はあっけにとられたようだった。拘束がゆるんだすきを見逃さず、土方は再度近藤の頬にふれ、くちびるにくちづけた。やや間をおいて、まるめた背中をためらいがちに大きな手のひらでさすられると、とうとうがまんできなくなった。
「近藤さん……」
重ねたくちびるの合間からかすれた声をだし、唾液に濡れたくちびるを舌でなめた。ゆっくりと上半身をおこしながら後ろ手に近藤の股間をまさぐり、まだなんの兆しもうかがえない感触におもわずくちびるをとがらせる。
「さわって……」
ねだるように言って、近藤の腹のうえでわずかに腰をくねらせた。なにをバカなことをと苦笑されるか、見慣れた困惑顔を見せつけられるだけだろうとたかをくくっていた土方はだから、ふいにこちらへとのばされた手をすっかり無防備に迎えた。
「あっ……」
近藤の手のひらに股間をつつまれ、ぴくりと全身がふるえた。おもわず身をよじって逃げようとしたが、がっちりとふとももをつかまれてしまった。
「なんで逃げる」
裾の狭間から侵入してきた指にじかに性器を撫でられ、土方はちいさく声をはねあげた。
「近藤さん、ま、待って」
「おまえがさわれって言ったんだろう」
手加減はしてくれない。望んだことだったのに、その性急な行為に土方のからだは翻弄された。
「あ、あ……」
バカみたいに声がでる。優位にいたはずの土方はすっかり近藤の手のなかに落ちて、しきりに喘ぎ声をあげていた。
「もう……」
達してしまいそうになって、土方は近藤の手首をつかんだ。
「アンタといきたい……」
熱い吐息とともに吐きだすと、愛撫の手がとまった。いつのまにか硬くなっていた近藤の下半身を土方は腰を揺らして刺激した。
「はやくきて」
くちびるを湿らせ、妖艶な笑みを浮かべたところでかろうじて残っていた理性はかき消された。
20100904