籠から逃げた鳥


「近藤さん、おれ、好きなひとできた」
 唐突に告げられた言葉にたっぷり十秒、間を置いてからでないと反応することができなかった。それくらい、衝撃的なものだったので。
 あまりにも真摯な瞳を向けてくるから、これは果たして本気なのだろうなと窺い知ることができた。
「そうか、トシにもそんなひとができたのか! 俺も知ってるかなァ? いつか紹介してくれよな」
 不自然にならないように切り出して。別に知りたくもない相手の容貌を聞いて相槌を打つ。 だからといっていつまでも平常心じゃいられそうになかったから、適当に話を切り上げてその場を去る。
「――なァトシ、よかったな」
 笑顔を作り出すことがこんなにも辛いだなんて、初めて思い知った。

もう自由だよ。
(そうでも思わないと、)
20060515