夢に罪はなく


「なんだトシ、寝不足か」
 あくびをかみ殺したところを見られたのだろう、顔を覗きこんでくる近藤に土方は軽くうなずいてみせた。
「夢を見たからな」
「夢? さては怖い夢だな」
 にやにや笑う近藤はなんとも楽しそうで、このネタでからかってやろうという魂胆が丸見えだ。なんてわかりやすいひとだ。土方もまた、近藤をからかってやろうという気持ちになった。近藤を見つめながら笑顔をつくり、
「アンタに抱かれる夢だよ」
 意味を図りかねたのか、いったんきょとんとした近藤はしかし、笑みを顔にはりつかせたまま徐々に表情をこわばらせていった。土方はそれを無視してつづけた。
「おかげで朝からアンタのことばっかり考えちまって仕事どころじゃねえの」
 なァ責任とってくれる?
 手につかない仕事に対してなのか、それとも夢のなかでの行為に対してのことなのか。そもそもそんな夢をほんとうに見たのか、判然とせずに戸惑ったようすの近藤に土方は嫣然と笑うばかり。

20080703