愛の爆弾


 やっと効きはじめたか、という土方のつぶやきに、熱のこもった息を吐きだしながら近藤がわずかに目を細めた。
「なにを盛ったんだ」
「それはアンタ自身、よくわかってるだろう」
 思った以上に効果があるらしい。土方は近藤の姿を見て満足げに微笑んだ。
「……なんでこんなことを」
「なァ近藤さん」
 土方はそっと近藤の手にふれた。とたんに振り払われ、右手が宙に浮いた。みずからの行ないに動揺したのか、近藤の目が左右に揺れる。土方は気にせず、ふたたび熱い腕に手を伸ばした。今度は払われなかったが、固くにぎられた近藤の拳からつたわる震えに思わず口もとがゆるんだ。
「がまんなんて、しなくていいのに」
 近藤を見つめる。近藤のこめかみにはたくさんの汗が噴きでていた。なめたいな、と土方は思い、見せつけるかのようにそっと自分のくちびるをなめた。
「べつに俺は壊れはしねえよ」
 俺はもっとアンタをほしいだけ。俺をもっと求めてほしいだけ――。
 なァ近藤さん。もう一度呼びかけるのと同時に、つよく腕を引っ張られて前方に倒れこんだ。近藤の腕のなかで、いつもよりもきつく抱きしめられながら土方は甘い痺れを感じた。そうして今度こそほんとうに、近藤のこめかみに接吻け、ささやいた。
「アンタに壊されるのなら本望だけどな」

20080702