激情に苛まれる


「俺ばっかり……」
 土方は近藤を布団のうえに押し倒した。近藤は、その気になれば土方など簡単にはねのけられるだろうに、そうはせずにじっと土方を見つめてくる。その視線から逃れるように土方は目を伏せた。俺ばっかりアンタのことが好きなんだ。口のなかでつぶやくと同時に、近藤のあたたかい手が土方の頭を撫でる。
「そんなことはないよ」
 そんなことはない、とくりかえす声は聞き分けのない子どもをなだめるように聞こえてくる。そうやってアンタは俺をやさしくつきはなすんだ。土方は近藤の胸に顔をうずめると、くちびるをゆがめて自嘲した。

20080701