初恋宣言


「近藤さん、おれ、好きなひとできた」
 こう言えば、どういう反応をしてくれるのだろうかといつもいつも考えていた。 試しているみたいでほんの少し、胸が痛んだけれど、彼の本音が知りたかったのだ。
 しかし実際に彼が見せてくれたのは、「そうか、トシにもそんなひとができたのか! 俺も知ってるかなァ? いつか紹介してくれよな」となんとも拍子抜けをしてしまうくらいあっけらかんとした眩しい笑顔だった。
 おれの大好きな笑顔だった。けれど今その表情を見るのは、とてもとても、辛かった。
「――ああ、そうだな」
 口惜しくなって、居もしない架空の女性を思い浮かべてぺらぺらと思いつく限りの容貌を話した。
 なんて馬鹿げたことしてるんだ。
 ひとりになって自嘲を漏らす。ついに近藤さんのなまえを告げることはなかったくちびるを、血が滲むほどに噛み締めた。

それじゃあバイバイ、
(言いたくないけど)
20060514