真夜中0時の通り雨


 長雨はやまない。梅雨入りしたからといって、ここ数日一瞬の晴れ間すらのぞかせない天気にはいいかげんうんざりだ。土方は暗闇のなかから静かに聞こえつづける雨音を遮断するよう雨戸をぴしゃりと閉めた。
「近藤さん、今夜アンタの部屋に行ってもいい?」
 振り向きざま、いま思いついたかのように声をあげる。
 酒をちびちびと舐めている近藤はすでに酔っ払っているようで、とろんとした目で土方を見返したあと、「べつにいいよ」と軽い調子でうなずいた。
 ほんとうにわかってんのか……?
 土方は訝しみ、あぐらをかく近藤の正面に腰を下ろすと自分も酒を注いで、さらに畳みかけた。
「雨の日ってなんかしたくなるよな」
 はっきりとそれとわかる挑発。にもかかわらず近藤は表情をかえない。
「なんだ、雨の日だけか?」
 そう言う近藤の顔は無表情に見えたが、わずかに目の奥で笑っているのに土方は気づいていた。内心で舌打ちしながらも、見せつけるかのようにゆっくりとくちびるを舐めてみせる。
「それはアンタがよーく知ってるだろ」

20080611