――ゆめ、か。
ふと目を覚ました土方は、いましがたまでの幸福な光景を頭に思い描き、それが夢であったことを理解するやいなや目をつむりふたたび眠ろうとした。が、いかんせん、無理だった。すっかり目は冴えてしまったので、あきらめて起きあがる。
無人の縁側は静かだった。冬空の下、陽だまりでいつのまにかうたたねしていた。いくら日差しが暖かいからといって、季節は冬。冷えたからだをかすかに震わすと、盛大なくしゃみがでた。
――あの腕のなかが居心地好すぎたからだ。
夢のなかで抱きしめられた感触が、眠りから覚めてしまったいまもなおからだにしみついて離れない。
耳元で己の名をささやく声が、鼓膜にやさしく響いて離れない。
それにしても、夢と現実との差があまりにもありすぎる。寒ィなァ、とひとりぼやいた土方は、さっさと部屋にもどろうと腰をあげた。そのときだった。
「……あれ」
背後で声がして、振り向いた土方の視線の先には近藤がいた。
「なんだ、起きちまったのか」
「……なに、俺が起きるとなんか不都合なことでもあンのかよ」
知らず、口調がぶっきらぼうになる。だが近藤はそれをまったく気にしたふうもなく、
「いやいや、風邪ひいたらたいへんだろうと思って、毛布もってきた」
そう言ってかかげてみせる近藤の腕には、毛布がかけられている。
寒くないかと訊ねられ、べつに平気だとこたえた土方はしかしうつむいて、かぶりを振った。
「……うそ。ちょうど寒いと思ってたとこ」
受け取った毛布にくるまると、ふんわりと近藤のにおいに包まれて、まるで夢のつづきをみているようだった。
それは陽だまり
20080111