虚言者の眩しい朝


 足音を忍ばせて近藤の部屋に侵入した土方は、そのまま近藤が眠る布団の中へともぐり込んだ。 近藤の体温がこもるそこはひどく居心地が好く、初めはいつばれてしまうだろうかと緊張していた土方も、近藤のいびきを聞いているうちに安心してすぐに寝入ってしまった。
 それだから土方が目を覚ましたのは、あくる朝、素っ頓狂な声が降り注いできたからだった。
 瞼を開けると間近に近藤の顔がある。一瞬どきりとしたものの、表情を変えずに「おはよう近藤さん」とつたなく朝の挨拶を繰り出した。
「ああおはよう、……ってあの、なんでトシくん、あれ、」
 混乱したふうの近藤を横目に、土方は目をこすって上半身を起こした。のんきにあくびをしてから、唇をツンと突き出して見せる。
「アンタ覚えてねえの」
「え」
「夜中、突然俺の部屋に来たと思ったら、俺を抱きかかえてここに連れ込んだのはアンタじゃねえか」
「マジでか」
「ああ」
 すっかり信じた様子の近藤に、土方は満足気に頷いた。 ゆるりと口許に弧を描き、もう一度あくびを漏らした土方の頭を、近藤が愛しそうに撫でる。
「うん、そっかァ」
「……?」
「今夜は俺が、トシの部屋に行くからな」
 土方の顔は見る間に赤く染まり、黒目をきょろきょろと動かして、そうしてゆっくりと頷いた。

(ぜんぶわかってるよ、きみのことはぜんぶ)

20060501