「ごめん、トシ!」
ごめん、ごめんな。ごめんトシ。
近藤さんの「ごめん」を聞くたびに、ココロが空っぽになっていくのを感じた。
どこかに置いてきぼりにされたみたいにぽっかり穴が開いて、ひゅうひゅうと隙間風が吹いているみたいに寒かった。
一生懸命頭を下げる近藤さんを見ていると、鼻の奥がツンと痛くなったので、俺はそれを誤魔化すように咳をした。
近藤さんは相変わらず、バカのひとつ覚えみたいに「ごめん」だ。
俺はそれ以上聞いていられなかった。耳を塞いでしまいたかった。
だから、言ってしまったのだ。
「べつに俺はアンタじゃなくてもよかったんだ」
だから気にすんな。そう言うと近藤さんは繰り返し呟いていた謝罪の言葉を止めて、そうか、と一言言ったきり黙りこんでしまった。
そうして沈黙がふたりの間を包み込む。
どれくらい経っただろうか、実際には数分も経ってはいないだろうけれど、俺には何十分にも感じられたあと、近藤さんが立ち上がる気配を感じた。
「そう、か」
言い残し、近藤さんは部屋を出て行った。
置いてきぼりになった俺は、くしゃくしゃになった布団の上でひとり、また零してしまいそうになる涙を必死に我慢した。