手相をみる
「近藤さん、おれ最近手相にはまってんだ。アンタもみてあげる」
「おっ、そんじゃよろしくな」
土方はそんなふうに近藤をたぶらかすと、差しだされた大きな手のひらをそっとつかんだ。そうして顔がくっつくくらいの距離まで近づくと、まじまじと手相を見はじめる――ふりをした。なぜなら手相にはまっているなんてウソっぱちだったからだ。ただ近藤の手をにぎりたいだけの口実で、手相なんてさっぱり興味はなかったのだ。
「んー……、恋愛運は最悪」
「エッ」
「いま追っかけてる女がいたら即行で離れたほうが身のためだ」
「そ、そんなァ」
「いまのままだともうすっげー最低最悪。うわ、下手したら死ぬかも」
「ウソッ」
「ほんとう。でもだいじょうぶ、近藤さん」
土方はにっこりと微笑むと、近藤の手をぎゅっとにぎりしめた。
「いちばん身近にいるヤツがアンタと相性ぴったりだ」
08.05.07
*ぞっとするおはなし。