愛の痛み
土方は近ごろ歯の痛みに悩まされていた。鏡の前で大きな口を開け、痛みの元凶である右奥の歯を覗きこんでみるがよくわからなかった。
「……虫歯か」
つぶやいて、ふと思い出す。先日、近藤が虫歯かもしれないと騒いでいたのを。
「おれにも移ったのかな」
近藤との接吻けを思い出す土方の声はほんのすこし弾んでいた。
「だったらだいじょうぶか」
土方と近藤、ともに歯医者に向かうことになる数週間前の出来事である。
07.09.29
*ぞっとするおはなし。