小指の糸
 近藤のあとを歩いていた土方は、近藤の黒い上着の裾からほつれ糸が飛び出しているのに気がついた。
「あ、近藤さ……」
「うん?」
 振り向いた近藤に、土方はふと考えなおして「なんでもない」とかぶりを振った。すると近藤は「そうか」とうなずいてまた歩きだす。
 土方もその後ろ姿を追いながら、ほつれた糸にそっと手を伸ばし、己の小指に絡めてみた。


07.05.25
*ぞっとするおはなし。