お気に入りの椅子
土方は寝不足だった。近ごろ銀行強盗やら爆破テロやらで忙しなく動きまわっており、ゆっくり睡眠をとる暇がなかったのだ。
事件が解決したいまでも、なぜだか気持ちが高ぶっていて眠れやしない。
常よりも覇気なく食事を終えたところで、近藤が心配そうに声をかけてきた。
「なんだトシ、隈ができてるぞ」
「平気だよ、近藤さん」
「ちょっと昼寝でもしたらどうだ」
「別におれは……って」
腕を引かれ、土方は近藤の膝の上に尻餅をついてしまった。
「近藤さ……ッ」
「よしよし」
「じゃなく、て……!」
冗談じゃないと暴れる土方だったが、近藤の腕にやさしく捕らえられてしまえば、不思議と抵抗する気も失せてしまうものだ。
「……もう知らねえからな」
吐き捨てた数分後には、ぐっすりと近藤の膝の上で舟を漕ぐ土方の姿があった。
07.05.24
*ぞっとするおはなし。