巨大迷路に迷い込む
土方は近藤とともに巨大迷路へとやって来た。
ふたりのほかに客といったらべたべたと必要以上にくっついている男女のカップル(なんてうらやましい!)と、ひと組の家族がいるだけだ。いまではだいぶ廃れたようすだが、一時期は流行していた時期もあったのだ。
入り口へ行き、さっそくふたりで迷路に入ろうとしたところ、受付の従業員に「おひとりずつご入場ください」と呼び止められてしまった。
「なんだと!?」
土方は血相をかえて従業員の胸倉をつかんだ。
「テメェおれと近藤さんを離れ離れにしてどうする気だ!?」
ひとりで入っても意味がねェ!
近藤とふたりきりで迷路に迷い込み、イチャイチャしたいという土方の思惑は見事に外れてしまった。
悔しさから、土方は半分意識を失っている従業員の首をさらに絞めつけてやった。
「トシくん落ち着いて!」
土方は近藤に羽交い絞めにされて我に返る。
「ごめん近藤さん、おれとしたことが……。せっかくのデ、デートなのに……」
土方が手を離すと、酸欠に陥っている男が地面に倒れ込んだ。さり気なくそれを蹴飛ばしながら軽やかに身を翻した。
「それじゃ近藤さん、先に行ってるから」
土方はくたびれた木の扉を押し、二メートルほどもある生け垣でつくられた迷路へと足を踏み入れた。ひとつ目の角に差しかかるとそこで立ち止まり、鼻歌混じりに近藤を待ち受けることにする。
07.05.23
*ぞっとするおはなし。