目薬をさす
 土方が近藤の部屋に行くと、驚愕すべき光景を目の当たりにした。なんと近藤が泣いているではないか! 目にうっすら涙を浮かべている姿を見て、土方はとたんに焦りだした。
「どうした近藤さん! どっか痛いのか!? 誰かに泣かされたのか!? なにがあったんだ!?」
 土方の勢いに気圧されたかのように近藤は濡れた目を丸くした。そしてすぐに納得したかのようにうなずく。
「ああ、ちがうよトシ。これのせいだ」
 そう言って差し出されたのは、近藤の指に埋もれてしまいそうなほどちいさな容器――目薬だった。
 土方は目を細め、ふうん、とつまらなさそうにつぶやいた。机の上にある電源のつきっぱなしのパソコンに視線を移す。
「どーせエロいモンでも見てたんだろ」
「ば……ッ、なに言ってんのトシくん! この俺がそんなもの見るわけないデショ!」
 近藤は焦ったふうに土方から隠すようにパソコンの画面の前にからだをずらす。土方はおもしろくなくなって、くちびるを尖らせ「別にイイけど」と強がってみせた。
「それより」
 ぐぐいと近藤の元へ近寄る。
「おれにもして」
「……はっ?」
「アンタにいれられたい」
 固まる近藤の手に自分のそれを添え、土方はにこりと妖艶な笑みを浮かべた。
「おれ自分じゃ怖くていれらんねえのだからアンタがいれて。おれ、アンタじゃないといや」


07.05.22
*ぞっとするおはなし。