若奥様に憧れる
土方は出張から帰ってきた近藤をにこやかに出迎える。
「おかえり、近藤さん」
「おう、ただいまトシ」
「先に俺にする? もしくは俺? それとも俺か?」
言い終えてから、土方は言い間違えてしまったことに気がついた。せっかく魅力的な(そしてありきたりとも言うべきか)台詞を練習していたというのに、うっかり本音が出てしまったのだ!
「じゃ、なく、て」
あわてて言い繕おうとしても、もう遅い。
「そんじゃー、トシくん」
笑った近藤にほっぺにキスをされ、土方はこくりこくりとうなずくことしかできなかった。
疲れて帰ってきた近藤を癒すべきなのに、なんだか自分が癒されてしまったようだ。今度こそ失敗しないようにと、土方はひそかに闘志を燃やす。
07.03.01
*ぞっとするおはなし。