雨の日の場合
土方はタンスを開け、自分の服をありったけ引っ張り出した。それをすべて洗濯機のなかに放り込む。すっかり満杯状態だ。
洗濯機が動き出すのを見届けてから、外に出る。今日は朝から強い雨が降っている。にもかかわらず、土方は傘も持たずに外を出歩いた。
特に用はなかったけれど、マヨネーズを買い足しておこうかなとふと思い、スーパーに立ち寄っただけで屯所に帰ってきた。マヨネーズの詰まったびしょびしょのスーパーの袋を山崎に押しつけて、土方自身もびしょびしょに濡れたまま足早に近藤のいる場所へ向かう。
近藤は土方を見るなり驚いたふうに声をあげた。
「どうしたトシ、はやく風呂に入って来い」
「でも近藤さん、おれうっかり服を全部洗濯しちまって着る服がねえんだ」
「それじゃ俺の服を貸してやるから」
土方は緩んでしまいそうになる顔を引き締めながらありがとうとうなずいた。計画どおりである。
貸してもらった近藤の服に顔をうずめてしまいたくなるのを堪え、風呂場へ向かおうとした。そのとき、近藤が背後でささやいた。
「それとも風呂から出たらそのまま俺ンとこに来てもいいぞ」
「……!」
ああどうしよう、願ってもみなかった申し出だ!
土方は迷うことなくうなずいた。
「それじゃ近藤さんが迎えに来てな」
07.02.21
*ぞっとするおはなし。