001:はずかしい下着
「アッ」
 近藤の指が袂に侵入してくるなり、土方はそれから逃れるように身をよじった。
「どうした、トシ」
「ん、今日は」
 いやだ、とかぶりを振る。どうしてと近藤の表情が曇っていくのを見て土方は胸を痛ませた。ああ、なんで今日に限って!
「……今日はそんな気分じゃねえの」
「そうか」
 憮然として近藤が言い放つ。怒らせてしまったのだろうか。土方はさっと身を翻してしまった近藤のあとをあわてて追う。 近藤さん、近藤さん。何度呼んでも近藤は立ち止まらない。
 このままではいけない。
 土方はとうとう彼の前に立ちはだかって勢いよく近藤の首元に抱きついた。
「だって、今日の下着はずかしい……」
「うん?」
「ぬがして」
 わずかに逡巡したあと、近藤の手が器用に土方の着物を脱がしていく。 ほんのすこし肌寒かったけれど、近藤に見られているのだと思えば身体の内側は火照ってむしろ熱いほどだった。
「トシ」
 はらりと着物を床に落とした近藤の、感嘆する声が耳元で響いた。自分の下着を見ているのだろう。土方の頬が真っ赤に染まっていく。
「今度はおれ、ちゃんと色気のある下着つけるから」
「でもこれもかわいい」
「あ」
 大きな手のひらで尻をつかまれ土方は身悶えた。マヨネーズ柄の下着が近藤の手のひらでくしゃりくしゃりといやらしい皺をつくっていく。
「ん、ん……、ほんと、う?」
「ああ、本当だ」
「そっか」
 ならよかったと、土方は頬をゆるませる。
「この色違いもあんの。近藤さんに、やるな」
 でもサイズが合わないかもしれない。腰にあたる硬い感触を受けながら、土方はもっと大きいサイズのものを買いに行かなければと明日の計画をすぐさまたてはじめた。


07.02.19
*ぞっとするおはなし。