06:一緒に食事
 屯所にもどると、かすかに夕餉のにおいがただよってくる。食事の時間はとうに過ぎていた。先刻電話で話した折、近藤は自分の分を残しておいてくれると言ってくれていたのを思い出す。台所を覗いた土方は、そこで近藤と鉢合わせた。
 突然のことだったので、心の準備ができていなかった。
 面食らう土方に、しかし近藤が「おかえりー」と満面の笑みで迎え入れてくれた。
「飯すぐに食うか」
 近藤が手ずから食膳の支度をしてくれる。ふたり分用意されるのを見て、土方は首をかしげた。だれかほかにも食いっぱぐれたやつがいたのだろうか。そんな土方の疑問はすぐに解けた。
「じゃあ食おうか」
 近藤が食卓のまえに着いたので、土方は目を瞠った。
「……待っててくれたの」
「いや、俺もちょうど残ってた仕事があって、それを片づけてたんだよ」
「……そう」
 近藤がそう言ってくれるので、あえて追究はしない。土方が「ありがとう」とつぶやいて食べはじめると、近藤は「そこは“いただきます”だろう」と笑った。


20080122