02:どこかにお出かけ
 ああトシおまえの非番はいつだったかな、と朝の占いを見終えた近藤が突然土方のほうを振り向いて訊ねてきたので、土方は寝起きでまだあまり働いていない頭を急回転させ、近藤さんは? と逆に問いかけたのだった。俺は明後日休みだ、という答えを聞くと俺もだよとさらりと言い放つ。
 嘘だった。たしか山崎も明後日非番のはずだったから、非番の日を代わってもらおう、と勝手に決めつけてしまう。
「じゃあ明後日、ちょっと俺につきあってくれないかな」
 近藤の言葉に、もしやデートの誘いかと土方はすぐさまうなずいてしまいそうになったが、よろこぶのはまだはやい、と思いなおしてそっと近藤の顔をうかがった。
「それって仕事関係?」
「ちがうちがう」
「じゃあ……」
 いったいなんだ。細めた双眸で近藤をジッと見つめても、近藤は「ひみつだ」と言って口を割ろうとはしない。ただその表情はいたって穏やかなもので、後ろめたさのかけらも見あたらないから、きっと悪いことはおこらないだろうと慮る。
「まァ、べつにひまだからいいけど」
 ひま! ほんとうは部下の休日を奪い取ろうとしているくせに、と土方は自分の物言いにちょっとだけ笑いそうになって、なんとかこらえながらうなずく。すると近藤が、じゃあ明後日はデートだな、とうれしそうに笑うので、これは夢じゃないよな、と不意にこの世界が信じられなくなって自分の頬をぎゅうとつねり、なにしてるんだ、という近藤の不審げなまなざしを注がれながら土方は痛みのせいなのかうれしさのせいなのかよくわからない涙をこぼしそうになった。


20071213