40:鳥籠の中
本当は鳥籠のなかにでも閉じこめておきたいんだ。
時おり見せる憂いなまなざしに、俺は、もう何度となくそう言いかけて、結局口を閉ざしていた。
いまも、そう。
眉根を寄せ、目をつむる男を前にして、俺はくだんの台詞を言うかわりに、わずかに震えているくちびるに接吻けた。ん、と男の喉が鳴ったのが聞こえてきたので、さらにくちびるを吸ってみた。う、ん、ん。せわしなく呼吸をくりかえす男をあらわにして、ついに俺は我を忘れた。
本当は鳥籠のなかにでも閉じこめておきたいんだ。
だけど、彼がそんな器じゃないってことくらい、わかっている。
だから、そんな顔をして俺の名前を呼ぶな。どうしていいか、わからなくなる。
居心地の好いそこから離れたくないのは、俺のほうなのだから。
20071025