26:モルヒネ
「近藤さん、誕生日なにか欲しいモンでもある?」
 ふいに訊ねられ、近藤は振り向いた。自分から訊いたくせに、土方はくちびるにはさんだ煙草を軽く上下させ、こちらのほうへ視線を向けようとはしなかった。
 近藤は土方の煙草を二本の指でつまんで抜き取ると、わずかに開いたくちびるにすばやく自分のそれをふれさせた。一瞬の出来事である。
「もうもらったからイイよ」
 見る間に顔を赤く染める土方の頭をぐしゃぐしゃとかき混ぜてやった。
(だってあの感触が忘れられないんだ)


20070904