21:彼の爪
「どこへ行く」
 つかまれた手首に刹那痛みが走る。皮膚に食い込んだ爪は近藤には無意識のようだったが、土方の眉間がひそめられたのを見るのと同時に気づいたのか、すぐに大きな手のひらが離れていった。
「悪い」
 狼狽する瞳に土方は「別に……」と言いよどみ、それから下唇を噛みしめた。
 手掌の下の肌膚にくっきりと爪痕が残されている。それを見ているとじわりと下半身が疼いてしまう。
 そんな不埒な感情を誤魔化すかのように、土方は明るく一笑してみせた。
「アンタ、そろそろ爪切っておけよ。どうせだったら俺が切ってやろうか?」
 そうでないと、もっと傷つけてくれと泣きついてしまいそうだったので。


20070825