20:唄を忘れた金糸雀
あんまりさわるな、と彼は言った。
近藤は、それだから土方にふれようと伸ばしかけた手を、寸でのところで止めた。おとなしく、引っこめる。未練は、たっぷりだけれども。
「……俺」
土方の声に、近藤は己の手に落としていた視線を持ち上げ、土方を見つめた。
「俺、アンタにふれられると、ダメなんだよ」
――ダメ、とは。
近藤が怪訝に眉をひそめると、土方は苦笑して、そっと目を逸らした。
――どうにかなっちまいそうで。
ちいさな囁きはしかし、確かに近藤の耳まで届いた。近藤は今度こそ土方を引き寄せ、抱きしめた。
「俺がいるから、大丈夫だろう」
「……アンタがいるから、ダメなんだよ」
20070818