11:あなたが私にくれたもの
目を閉じろと言われたからおとなしく目を閉じた。まさかキスでもされるンじゃないだろうか。はしたなく揺れる心臓が煩わしいと思っていると、おとがいに何かがふれたのがわかった。近藤さんの手だ。さらに鼓動は速くなる。
「――トシ、ちょっと口開けて」
ちょっと待て、まさかいきなりそんな激しいモンでもするつもりか。動揺しながらも言われたとおり口を開けてしまうあたり俺もどうかしている。
震えた唇の間から何かが入り込み、前歯にこつんとあたった。口のなかに甘い香りが充満する。そこで俺は目を開けた。すっかり俺から離れた近藤さんがにっこりと笑っていた。
「飴玉。ご近所さんにもらったからトシくんにもお裾分け」
そう言って飴玉の詰まった袋を掲げて見せる。俺は拍子抜けし、それからひとりで赤面し、なんだか悔しくなって近藤さんの手から飴玉の袋を没収した。
20070711