03:溺れる
一度意識してしまったら、あとは底なし沼にはまったかのようにその想いから抜け出せなくなっていた。
そんな顔をして笑わないでほしい、と思う。屈託のない笑顔、まっさらだが強い眼差しに目が離せなくなる。
彼は必要以上にふれてくるひとで、その対象は自分だけではないのに、他の奴らと同等の扱いだろうと思っているのに、どうしてだかふれられるたびに、必要以上に強く意識をしてしまうのだった。
ふれるなと思う反面、ふれてほしいとも思う。
直接ねだるなんてことは――絶対に――しないけれど、己の視線がもしかすると彼にねだっているように見えているのではないかと思うと不安で眠れないときもある。
彼がどうしようもなく好きで好きで好きで。
それくらい、彼に溺れているのだった。
20070527