声に導かれて、まるで天国みたいにあったかい布団のなかから抜け出し、肌に突き刺すような痛みをつきつけてくる外気に身をさらす。
寒い。寒かった。
吐く息は雪にも負けないほど白い。自然と身を縮こまらせながら、それでも視線は庭に積もる雪にくぎづけになる。
――正確には、庭の中央、なかでも足跡が大量に残されているその先にぽつんと佇んでいる、一体の雪だるまに、だ。
目を凝らすと、小枝と小石で顔が描かれているのがわかった。
「あれはトシくんです」
「……どこが」
振り返り、胸を張る近藤さんに苦笑が漏れる。
「似てねえよ」
「うそ俺早起きして頑張ったのに!」
ガキかよアンタ。くつりと笑って真っ白の絨毯の上に一歩を踏み出す。
「俺が見本を見せてやる」
「お、そんじゃ俺もリベンジ!」
袖をまくって、いざ出陣。雪に手をつっこもうとしたところで、トシ、呼びかけられて振り向いた。
近藤さんが俺の首にぐるりとマフラーを巻いて、冷たくなった手にあったかい手袋をはめる。
「これじゃ寒いだろ」
「……わすれてた」
「なんだそれ」
近藤さんがふわりと笑う。
でもほんと、うそじゃねえよ。アンタといると俺、いつも以上に体温が高い気がするんだぜ。
完全装備になった俺は、薄着の近藤さんに抱きついて、その体温をたっぷり分けてやろうかと企んだ。