どうしてか言えない
手持ち無沙汰だったので、新聞に目を落としている近藤を見つめていたら、その露骨なまなざしに気づいたのかはたまた偶然なのか、近藤が顔をあげて土方のほうを見た。
「どうしたトシ、俺にみとれてた?」
きょとんとした表情からすぐに笑みを浮かべて、図星をついてくる。――彼にとっては、なんでもない冗談のつもりだったのだろうけれど。
それがわかっていたから、土方も「ああ」と軽くうなずいてみせたのに、近藤は予想とはちがった反応をした。
「……どうした、トシ」
近藤が怪訝そうに眉をひそめるので、土方は首をかしげる。
「なにが」
「おまえ熱でもあるんじゃないか、ゆっくり休んだほうがいいぞ」
熱! 熱などない、健康そのものだしいたって正常だ。これで熱があるのだというのなら、アンタのそばにいるときは常に発熱していることになると思うんだけどな。土方は反論するのをあきらめて、「そうだな」とため息まじりの返事をした。
20090101