愛という名の


 あのひとを中心に真選組が結成されたとき、すでに俺はこれからなにが起ころうとこのひとには一生ついていくのだと心に決めていた。もしくは、あのひとが俺を拾ってくれたときにはもう、決まっていたのかもしれない。運命なんぞ信じちゃいないが、あのとき、錆びれてろくに動いていなかった俺の歯車が動きだしたのはたしかだった。
 あのひとが女にふられたと嘆くたびに、だいじょうぶ俺が一生アンタのそばにいるからそんなくだらねェ女相手にすんなさっさと忘れろ、と慰める俺の心のなかはじつは土砂降りで、ああ俺にはトシだけだという酔っ払いのたわごとですら滴がこぼれ落ちてしまいそうなほどの威力を発揮するのだった。
 素面のときにおなじせりふを告げたらどんな反応をみせてくれるだろうか。真顔で真剣な口調で、俺が一生アンタのそばにいるからなんてことを言ってしまえば、ああ俺にはトシだけだなんてせりふはもう二度と聴けない気がして実行できない俺は、ただの弱虫だ。
 アンタが動かした歯車は責任をもってアンタがとめてほしいのだと、きょうもまた深酒する近藤さんの背中を撫ぜながら俺は心のなかでひっそりと。

20080918