096:寝顔
 セックスの後は大概疲れており、すぐに眠ってしまいたくなるが、それを我慢して土方はまんじりともせずに起きていた。
 何回目かのあくびをかみ殺したとき、まだ寝ないの、とたいそう眠たげな声で問われたので、目尻に浮かんだ涙を手の甲でこすりながら頷いてみせた。
「アンタが寝たら、寝る」
「なんでェ」
「だって」
「……だって?」
 近藤は、やはり今にも眠ってしまいそうな目を若干細め、土方を見上げている。返事を待っているこの間にも、眠ってしまいそうだ。
 思わず土方は笑ってしまってから、観念したように肩をすくめた。
「アンタの寝顔が見たいから」
 言ってから、しまったと後悔する。近藤が目をしばたかせながら、だったら、と口を開いたので。
「俺だって、トシの寝顔、見たいぞ」
 どきりと心臓が跳ねる。おかげで、眠気はすっかり消え去ってしまった。


06.10.24