094:匂いの誘惑
 風呂から上がった土方は、すでに布団のなかにいる近藤の隣へともぐりこむ。あったかいそこは、すっかり土方の定位置になっていたので多少暗くても障害にはならない。
「あ、トシ、いいにおい」
「アンタだって同じシャンプー使ってんじゃん」
 まだちょっとだけ水気の含んだ髪の毛を鼻先でつつかれて、くすりと笑ってしまえば近藤は殊勝な顔をして、
「おまえのがイイにおいがする」
「……気のせいだよ」
 だっておれはアンタのにおいのほうが大好きだ。土方は近藤に抱きついて、思いきり息を吸い込んだ。


06.11.05