087:鏡
「ほらちゃんと見て、トシ」
 耳元で囁かれた声に土方は堅く目を瞑りかぶりを振った。そんなちいさな行動でさえ、ペニスを深くくわえこんだ下半身が大きな反応を見せるので厭になる。
 どうせなら理性をすべて飛ばしてしまいたかったが、かろうじて残っているそれのせいで自尊心が頑なに近藤の言いつけを拒絶しようとする。
 ふたりの正面には大きな鏡があった。土方は大きく足を広げ近藤の膝にまたがっているので、すべてが鏡に映っているだろう。つながっている箇所も、近藤に触れられるたびに声を出してしまいそうになって唇を噛みしめる姿も全部、近藤に見られているのだ。そう考えるだけで土方の全身は熱をたたえるようになる。
「トーシ」
「は……」
 つぷりと胸の粒を指先で押し潰されて土方はぐっと顎を引いて声をだしてしまうのを堪えた。それでも乳首をいじられペニスを扱かれてしまっては、先刻見てしまった鏡のなかのおのれの痴態を思い出さずにはいられない。
「あ、あ……っ」
 吹き出した精液が鏡に映るおのれの顔を白く汚すのを、うっすらと瞼を開けた土方は確かに見たのだった。


06.10.08