082:ルール
ふたりの間には暗黙のルールといっていい、明言はせずとも互いに了承済みである行動が存在した。
夜中、近藤が土方の布団に忍び込めば、それはほぼ百パーセントの確率で情事のお誘いであったので、土方もそのたびにすんなりと近藤を受け入れていた。
しかし逆に土方のほうが近藤の布団に忍び込むときには、また意味合いが違ってくるのであった。
たとえばなかなか寝つけないとき、体温を求めて土方がふらふらと近藤の布団のなかに入り込むこともあった。そういうときは本当にただほんの少しだけ近藤に触れていられるのならばそれで良いのだ。
むろんセックスをしたくて近藤の元へすり寄ることだってあったが、得てして気まぐれな恋人である土方に、さあ今日はどうしたとはまさか問うことはできない性質の近藤なので、ただやさしく抱きしめるだけの仕草に土方はこっそり頬を膨らませることも時としてあった。
だがしかし、結局のところ、近藤に触れられるとすぐに絆され求めてしまう土方にとっては、かようなルールはないに等しいのであった。
06.11.30