「俺に来てほしかったのって、もしかしてココのことか?」
薄暗い地下室で、物珍しそうにあたりに目をやる近藤に、土方は「そうだ」と頷いた。
「逢引の場所にはぴったりじゃねェ?」
「あい」
びき、と言ったところで近藤が盛大なくしゃみをした。この部屋がいかに埃っぽいのかを物語っている。
築何十年かは経っているだろうおんぼろの木造建築の地下に、このようなコンクリートむき出しの部屋が隠されていたとは誰も思うまい。
倉庫に使われていたのか、半壊状態の箪笥やぼろぼろの布団などガラクタが無造作に放り投げられている。おそらく前の住民が去ってから何年、ずっと放置されていたのだろう。
近藤はずずっと鼻を啜りながら続けた。
「……でも、ここって勝手に入っても良かったのか?」
「さあ」
「え、さあ、って」
「どうせもう何年もひとが踏み込んだ形跡はねェんだ。大丈夫だろ」
それに、と土方は含み笑いをこぼした。
「ここに入ってきたからには、アンタも共犯だからな」
「エエエ! 俺なんも知らなかったンだけど!」
それもそうだ。土方は近藤に仔細を語ることなくここへ連れてきたのだから。しかし近藤のあわてぶりは気に食わない。
俺とふたりきりじゃ厭なのかと睨めつければ、近藤はいやそうじゃないけどとあわてたふうにかぶりを振る。ふうん、と近藤を見据えた土方は、悪戯に口許を緩めた。
「じゃあ一緒に楽しもうぜ、近藤さん」
かくして土方の念願、叶ったり。